第202章 迎えに行って連れ帰る

彼女は確信していた。――自分の仕掛けは成功した、と。

有川紘樹の耳に、こちらの「知らせ」が届くのは時間の問題だ。

賭けたのは、有川紘樹の罪悪感。

そして、その罪悪感が必ず彼の手を鈍らせ、心を柔らかくすることも。

同情さえ引き出せれば、佐伯薫には流れを変える余地がある。

それどころか、予定より早く帰国できる可能性だって生まれる。

有川グループ最上階、会議室。

有川紘樹は席に座ったまま、淡々と式次第を進めていた。

グループの下半期を左右する大型案件の調印式。重い空気の中、双方の責任者が並び、条項はすでに詰め切られている。あとは最後の署名だけで、すべてが確定する。

「有川社長、先...

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